日記
10年前
ぼく達は役所に婚姻届を出した
結婚までは本当に早かった
それまで独身貴族を謳歌していた
ぼくは親族から絶対すぐ別れる
そんなふうに言われていた
結婚したのは40も半ば
いい加減遊びには飽きていた
当時
金も無いしコミュ障のぼくは
結婚できるとは思ってなかった
あれから10年
去年はニューオータニで鉄板焼
今年は妻の手料理だった
簡単なイタリアンだった
そうそう贅沢ばかりしてられない
10年はあっという間に過ぎる
ぼくらの時間は濃密なので妻は
10年経った気がしないと言う
この先何年生きてるかわからない
でも妻が何不自由なく暮らせるよう
全て準備して死んでゆきたいな
低学歴の破産者だったぼくを
支えてくれる妻には感謝しかない
夜にアニバーサリーと迫ったら
寒いからと断られてしまった
どうやら春になるまでお預けらしい
スカイツリーと同じでいつでも
登れるから先延ばしになる
人生なんていつ終わるかわからない
もしかしたら暖かくなる前に
逝っちゃうかもよ?